Creativity
コンセールエクラタン福岡の久留米公演ヘ。
楽しみにしていた古楽シリーズ。
簡素ながらも雰囲気のあるヴォリーズ建築の教会は、バロック音楽のコンサートにぴったりですね。
さて、多くの日本人が最初に出逢うバロック音楽といったら、それはおそらくヴィヴァルディの『四季』ではないでしょうか。
教科書にも載ってますし、子どもの頃はよくイ・ムジチ合奏団が来日していてCMをやってました。
中学生の娘も1学期に「春」を勉強していまして、授業内容が30年前と変わらないことに驚きましたが笑
今回演奏されたのは、季節に合わせて「秋」。
あまりにも耳慣れすぎて、聴き飽きられてしまってるかもしれないこの曲に、
いろいろな試みがおこなわれていました。
ヴィヴァルディがそれぞれの楽章につけた詩(ソネット)をご紹介いただき、
ソロヴァイオリンの寺神戸さんが演奏しながら、ユーモラスな演技を披露。
伴奏のオーケストラの皆さんも一緒に演技。
こんなに笑いがまきおこる「秋」って初めて。
いきいきとした曲の情景が見えてくる演奏でした。
聴きながら(観ながら)、頭をよぎったのは「Creativity」という言葉。
当時はもちろん写真もビデオもなく、作曲家は音楽によってその情景を描き出しています。
昔のセピア色の写真を見て、当時の世界がすべてその色だったと思い込んでしまうように、
なぜか「音楽だとここまでしか表現できない」って勝手に限界を決めていたんです。
でも実は、自分が気づかなかっただけで、こんなにも表現されている。
それはたとえるなら、古いフィルムから復元したオールカラーの動画を見た時のように、
なんとなくこの色、と思っていたものに、まったく違う色が乗っていた時の驚きがありました。
黒いセーターかなと思っていたら、真っ赤のセーターだった、というような感じでしょうか。
古楽、バロック音楽、とひとくくりにしてしまうけど、当時はそれが最新の音楽で、
どうやって聴き手を驚かせようか、作曲家は Creativity をかき集めて作っていたんだな、と改めて。
うまく言葉にできませんが、それに気づかせてくださったことに感謝です。
良いコンサートをありがとうございました。