九州の古楽とオルガン

九州で古楽器演奏とオルガンが聴けるコンサート情報を集めています

ドビュッシーとバロック音楽の秘密

青柳いづみこ 公開レッスン&レクチャー・コンサート
ドビュッシー ピアノ曲の秘密」 

 

いつかお逢いしたいと思っていた青柳いづみこ先生が広島にいらっしゃる。
しかもラモーやクープランの実演が聴ける。

ピアノは遠い昔、ブルグミュラーで挫折しており、今はねこふんじゃったも弾けませんが、こんな機会はないと行ってまいりました。

以下、聴講メモですが、午前と午後に聞いた話をまとめていたり、固有名詞はまったく正確ではありません。
また、ピアノ用語はまったくわからないので、意味を取り違えている箇所もあるかと思いますので、ご自身の判断でお読みください。


版画 3.雨の庭


(遅刻したので聴けず)

あとにも出てきますが、冒頭部はチェンバロの二段鍵盤を想定すると、立体交差がしやすいそうです。

↓IMSLPに楽譜あり

imslp.org



ピアノのために 1.プレリュード


ドビュッシーの自宅は二本ペダルのピアノしかなかった
プレイエル
ベビシュタイン
XXXX(忘れた)

ドビュッシーは1913年に三本ペダルを使って録音している
それを聴くと、バスが伸びている
ただ、ミドルを踏んでいるのか電気的な処理をしているのかわからない
ベルテミニオン社(?)のロールなので、スタインウェイと同じ

プレリュードの最初のところ、ミドルを踏まないと伸びない
ウナコルダも踏んでいるか?(受講生はうなづく)
ミドルペダルを踏む実演
ピエール・ロジェ先生(?)は足が大きくて(2本のペダルを同時に)斜めに踏んでいた、笑

演奏前のこぼれ話
受講生の方が、なかなか椅子が下がらず苦労されているのを見て
「2015年のショパンコンクール、油圧式の椅子が下がらず、
小林愛実ちゃんは、椅子が合わない状態で弾き始めちゃった。
それでも本戦に行ったから良かった。
油圧式は結構くせものなんです。」

IMSLPは楽譜なし

imslp.org

 

ピティナのサイトで楽譜サムネイルが見れます。
てか、ピティナって名前しか知らなかったんですけど、めちゃめちゃ資料充実してますねぇ。

enc.piano.or.jp

 

 

「12の練習曲」より「アルペッジョ(アルペジオ)のための」


1925年にデュラン社から出版
第一次世界大戦
ドビュッシーは直腸がんが見つかる前で体調不良だったが
ショパン全集の改訂の仕事が入った

ショパン全集の改訂をしているうちに、練習曲の作曲も始めた
ドビュッシーの練習曲はオーリージ(?)が改訂している
オーリージも変な人
ドビュッシーの研究者は変人が多い、笑

 

冒頭
右手は鐘のように
左手(アルペジオ)は唐草模様

 

アルペジオは装飾
バスが旋律
バスは、旋律のところとアルペジオの部分を弾き分ける

 

晩年の作品はいろんな様式がパッチワークのように入ってくるので、弾く人は大変
二小節ごとに感情が変わっていく
奏者の中にいろんな感情持っていないといけない


ショパン10-8と同じ
→と先生がおっしゃったら、受講生の方サッとそれを弾かれました。すごい。


(指番号の)2、3、4をつかう
指は長さも向きも違う
どの指も均等に使うのは無理

 

ショパンのメソッドは、長い中指を黒鍵に
短い薬指を白鍵に落とし自然に弾く
ショパンの練習曲はDes-durなど記号だらけのところから始め
最後にハ長調
ハ長調がいちばん難しい

 

↓IMSLPに楽譜あり

imslp.org

 

ドビュッシーと18世紀クラブサン音楽の関係


ドビュッシーは8歳のときにショパンの弟子に習ったと言われている
ショパンはバッハを敬愛しておりそれがドビュッシーに伝わった

パリ音楽院にはピアニストを目指して入ったが、
ショパンの技法が伝わっていなかった

パリ音楽院でマルモンテル先生に習う
マルモンテル先生は、ドラクロワショパンの肖像を持っていた人

パリ音楽院ではバッハは対位法の練習曲でしかなかった
ドビュッシーのほうが新しかった
それでピアノをやめて作曲家になった
(個人的疑問:マルモンテル先生はショパンの技法は継承していなかったのか?

 

(1900年の?)パリ万博でプレイエルが大型クラブサンを出した
兄弟子であるルイ・ディエミエル(?)がクープランやラモーの連続演奏会をおこなった
ドビュッシーも当然聴きにいっているはず

 

その後、パリに古楽ブームが到来
古楽協会ができ、バッハのオーソリティであるワンダ・ランドフスカが来た
ラモーのオペラ「イポリート」が上演されたときに
ドビュッシーが擁護した記録もある


ドビュッシーにはフレンチバロック組曲の形の曲が多い
バロック奏法を視野に入れて書いている

 

クラブサンは二段鍵盤なのでピアノと違って立体交差で弾ける
雨の庭とプレリュードの冒頭は完全に二段鍵盤を想定してる

 

ドビュッシーの作曲はは倍音を拾って和音にしている
和音をずらしてメロディにしている
禁じ手になっている和音も使っていた
即興演奏も多くこなした

 

パリ音楽院のデュヴォワ先生(? 和声の先生)は日曜に教会でオルガンを弾いていたが、「いつでもオルガンで彼(ドビュッシー)の即興を弾けるよ」と言っていた

 

 

ピアノ演奏への古楽的アプローチ

 

古楽がいま元気なのは伝統が絶えてしまって
どう演奏するかを自分たちで考えていて演奏しているから

 

クープラン
ディエミエルがピアノで弾けるように曲集を出版
校訂者の意図が入る

 

クープランは装飾を厳密に決めて装飾表が作られている
バッハが参考にした

 

リピートをした二回目に装飾を入れたり
即興でつなぐのはバロックでは普通のこと
あるコンクールでコンテスタントがそれをおこない、
認めるかどうか会議がおこなわれた

 

バロックから古典派を見直す必要がある
今後シューベルトあたりまでは見直しが入ると思う

 

指の訓練について

 

小山実稚恵さん
ワルシャワの二階で聞いていると
日本人コンテスタントの音は上っ面ばかりで芯に響いてこない」

 

国産ピアノの鍵盤が軽くなっているのも影響

 

カルクブレンナーの練習曲
指の分離、独立をうながす
フォルテピアノショパンコンクールで二位入賞した川口成彦さんは3年やったと聞いた

 

ユンディ・リの先生
ダンジィアオイ(?)
「アジア人は繊細なフィンガーテクニックを活かすべき」

 

プチクラビケも練習曲がある
指先のエクササイズ
藝大の院生でも脂汗かくレベル

 

まむし指など、小さい子が苦手にしている場合必ず原因がある
原因に気がついて早めに取り除いてあげるのが大人の責任

 

 

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